九州大学附属図書館/エルゼビア 図書館セミナー

Power of Library ~大学図書館のパワー~
第一部:今求められている図書館経営 (図書館長・管理者の方向けディスカッションミーティング)
第二部:これから求められる図書館像 (図書館員向けセミナー)

会場: 九州大学 中央図書館新館4階 視聴覚ホール
主催: 九州大学附属図書館/エルゼビア・ジャパン株式会社
後援: 九州地区大学図書館協議会

九州大学附属図書館イベント紹介ページ

九州大学附属図書館/エルゼビア図書館セミナーを九州大学にて7月4日開催いたしました。ご参加いただきました多数のみなさまにお礼を申し上げます。 

昨今、大学図書館の役割は年々変化し、経営者の視点でとらえることも重要な課題となってきています。また、利用者のニーズも多岐にわたり、そのニーズにこたえる図書館像をタイムリーに把握することは必須の情勢です。 図書館長として、いかに大学経営陣に関わり、影響を及ぼしていくか、そして利用者の声を代弁し、いかにそのニーズにこたえていくか、といった事柄を、米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の図書館長兼 図書館部長Ms. Paula Kaufman(ポーラ・コーフマン氏)と、米国・インディアナ大学ブルーミントン校図書館部長Ms. Brenda L. Johnson(ブレンダ・L・ジョンソン氏)がゲストスピーカーとして、豊富なご経験に基づき紹介されました。 講演やディスカッションを通じて、さまざまことが共有されました。例えば、大学の知名度向上へとつなげる活動が図書館の重要な活動であること、また、仮想図書館にとどまらず、エンベディッド・ライブラリアンなど様々な形態を取り入れる柔軟性の重要性、そして利用者のニーズについては、書庫に関するオーソドックスなものから、データ・キューレーションなど電子時代ならではの新たなものまでをいかにタイムリーに吸い上げ、それをどう実現していくかなど、概念だけではなく、具体例を用いての一歩踏み込んだ内容となりました。2011年に大学院統合新領域学府 ライブラリーサイエンス専攻を開講した九州大学からは、日本の現状や展望が紹介されました。第一部、第二部を通じて、会場全体でこれから求められる図書館の経営や図書館像をともに考え、大学図書館のパワーを最大限に活かしていく道を考えていくよい機会となりました。


第一部:今求められている図書館経営(図書館長・管理者の方向けディスカッションミーティング)

開会の挨拶
九州大学附属図書館副館長 吉田素文
吉田素文 
大学経営陣への図書館の貢献
米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 図書館長兼図書館部長 Ms. Paula Kaufman(ポーラ・コーフマン氏)

20世紀末までは、多くの学術図書館長は、他の学術系/非学術系の大学幹部から孤立して図書館を運営していると考えられていました。しかし、20世紀末ごろから徐々に大学経営陣の一員となり、現在、21世紀の学術図書館長は、大学の運営に多くの重要な形で貢献し、しばしば大学の主要なプロジェクトや活動を指揮しています。この講演では、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校での私の経験を、熱心な学術図書館長のケーススタディとして紹介します。
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Paula Kaufman
大規模研究大学における図書館の役割
米国・インディアナ大学ブルーミントン校 図書館部長 Ms. Brenda L. Johnson(ブレンダ・L・ジョンソン氏)

大学における図書館の役割は、ますます重要になりつつあります。この講演では、大学における図書館長の重要な役割に触れるほか、図書館がどのように大学の知名度を高めるかに注目します。ケーススタディに取り上げるのは、2010年大学・研究図書館協会(ACRL)最優秀学術図書館に選ばれたインディアナ大学です。賞、表彰などを開催する催し、大型の助成金獲得などの活動のほか、革新的なプロジェクトも紹介します。
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Brenda L. Johnson 
大学経営の中での図書館の貢献:九州大学の事例
九州大学附属図書館長 川本芳昭

日本における大学図書館は、グローバル化・情報化や国立大学の独立法人化への対応によって、急速にその姿を変えつつあります。 そうした潮流は大学図書館に研究支援と教育学習支援への対応を求めていますが、今回はそのような潮流の中で、九州大学図書館がどのような改革を行っているのか、そこにどのような問題があるのかといった点について述べようと思います。
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川本芳昭 
Q&A・ディスカッション
モデレーター: 吉田素文副館長
パネリスト: Ms. Paula Kaufman、Ms. Brenda L. Johnson、川本芳昭館長

午前ディスカッション 

 
閉会の挨拶
池田哲 エルゼビア・ジャパン株式会社 カントリー・ディレクター

第二部:これから求められる図書館像(図書館員向けセミナー)

 

開会の挨拶
九州大学附属図書館長 川本芳昭
 
統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻の目指すものとは
九州大学統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻 准教授 石田栄美

近年、インターネットや電子化による学術情報流通の変化を受けて、大学図書館は変化を求められています。 この講演では、まず、科学技術・学術審議会学術情報基盤作業部会が、平成22年12月に公表した「大学図書館の整備について」の中から、これから求められる大学図書館の機能・役割、大学図書館職員の育成・確保に関する審議のまとめを紹介します。次に、大学院レベルの養成課程として、平成23年4月に九州大学に設置された統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻の構想と意義、教育研究活動の具体例を紹介します。最後に、ライブラリーサイエンス専攻の今後の展開についてもお話します。
プレゼンテーション資料(PDF) | 動画 

石田栄美
海外事例(1) インディアナ大学の場合:教員との連携
米国・インディアナ大学ブルーミントン校 図書館部長 Ms. Brenda L. Johnson(ブレンダ・L・ジョンソン氏)

図書館長を含め、本当に優秀な学術図書館員は、大学の教員と緊密に協力しあっています。この講演では、研究図書館の将来に関して教員と協同するようになることを目的として実施したインディアナ大学の最近のプログラムやプロジェクトについて説明します。全学的な教員フォーラムや各学部/分野の教員グループによるフォローアップ・ミーティングの詳細も紹介します。
プレゼンテーション資料(PDF) | 動画
Brenda L. Johnson
海外事例(2) イリノイ大学の場合:研究支援
米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 図書館長兼図書館部長 Ms. Paula Kaufman(ポーラ・コーフマン氏)

現代の学術図書館は、サブジェクト・ライブラリアンによる支援から専用ツールやサービスの開発と提供まで、大学の研究事業を多くの形でサポートしています。この講演では、総合的な研究大学であるイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校を例に挙げ、研究者をサポートする大学図書館の取り組みを複数の視点から紹介します。
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Paula Kaufman
Q&A・ディスカッションパネリスト: Ms. Paula Kaufman、Ms. Brenda L. Johnson、石田栄美准教授
ディスカッション午後
 
閉会の挨拶
池田哲 エルゼビア・ジャパン株式会社 カントリー・ディレクター

参加されたみなさまからの声

  • 非常に刺激になりました。
  • 既にできていること、すぐにはできないことも含めて、とても参考になった。図書館長が、副学長としてマネジメントに関与できていることは良いことだと改めて認識しました。
  • 図書館の必要性や図書館長の役割がわかりました。
  • 海外図書館の単なる事例だけでなく、取り組みの中心におられる方の思想、所感を拝聴できた事が非常に貴重な経験となりました。
  • 日本の大学図書館のこれからの活動について、示唆に富んだ内容だった。

演者紹介

Ms. Paula Kaufman(ポーラ・コーフマン氏)
米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 フアニータJ.&ロバートE.シンプソン図書館長兼図書館部長

【略歴】 1999年9月より現職。1988年からテネシー大学ノックスビル校の図書館部長。それ以前は、コロンビア大学図書館で、バイスプレジデント代理、学術情報サービス部長、図書館サービス部長、東アジア図書館責任者代理、ビジネス図書館責任者を務める。学術情報、プライバシー、著作権、研究図書館、人材登用、リーダーシップなど、多くのテーマについて執筆やプレゼンテーションを行っている。学外では、Center for Research Libraries、Association of Research Libraries(2000-2001副会長、2001-2002会長)、Consortium of Academic Libraries in Illinois (CARLI、2005-現在、設立ボードメンバー)、 Council on Library and Information Resources(CLIR、2000-2006副理事長、2006-2008理事長)、などを歴任、学内でもIllinois Informatics Initiativeの役員や、Excellence @Illinois Campus 運営委員会執行委員を務め、大学事務局長内閣メンバーの一員でもある。2012 ACRL Academic/Research Librarian of the Year Award を受賞。
Paula Kaufman 
Ms. Brenda L. Johnson(ブレンダ・L・ジョンソン氏)
米国・インディアナ大学ブルーミントン校 ルース・リリー大学図書館部長

【略歴】 2010年3月より現職。17の図書館に820万冊以上の蔵書を誇る米国最大級の学術研究図書館組織であるインディアナ大学ブルーミントン校にて、人事、予算、設備、蔵書構築、公共/技術サービス、図書館テクノロジー、マーケティング、資金調達、設備改良、開発に関する計画と方針を担当。それ以前は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の大学図書館長や、ミシガン大学図書館の暫定共同大学図書館長を務める。ミシガン大学図書館では20年以上にわたって多様な職務を歴任し、同大学の19の図書館を統括する公共サービス担当副図書館長として際立った業績を残す。同大学のGoogle書籍デジタル化プロジェクトにも関与。学外では、HathiTrustの執行委員会、CLOCKSSの役員会にも関与し、Committee on Institutional Cooperation(CIC)、Association of Research Libraries(ARL)にも名を連ねる。現在、ARLの「研究図書館の改革に関する運営委員会」委員も務める。
Brenda L. Johnson 
川本 芳昭 (かわもと よしあき)
九州大学 附属図書館長

【専門分野】 東洋史学
【略歴】 1975年九州大学大学院文学研究科修士課程修了。1978年同博士課程単位修得退学。1994年九州大学文学部助教授、1998年同教授を経て、2000年より九州大学大学院人文科学研究院教授。2004年より人文科学研究院長、人文科学府長、文学部長を併任。2010年より九州大学副学長。同年10月より附属図書館長。中国の漢から唐時代までの中国内部の政治社会、民族の問題(民族については現在も含む)、及びその周辺、すなわち北アジア、西南中国、朝鮮、日本等との間の国際関係を研究している。
川本芳昭 
吉田 素文(よしだ もとふみ)
九州大学 附属図書館副館長 パネルディスカッションモデレーター

【専門分野】 医学教育学
【略歴】 1988年九州大学医学部卒。九州大学医学部附属病院医員を経て、1991年テキサス大学M.D.アンダーソン癌センター研究員。1996年九州大学医学部附属統合教育研究実習センター助手、2002年東京医科歯科大学助教授を経て、2004年より九州大学医学研究院教授。医学教育の本務の傍ら、2008年より附属図書館副館長、2011年より九州大学大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻教員を兼任しており、情報の管理・提供における教育・学習の側面に関する研究にも造詣が深い。九州大学附属図書館付設教材開発センターにも所属し、授業で使用する教材等の著作権処理に取り組む。
吉田素文 
石田 栄美(いした えみ)
九州大学 附属図書館研究開発室 准教授 大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻専任教員

【専門分野】 図書館情報学、テキスト自動分類
【略歴】 1998年図書館情報大学大学院図書館情報学研究科修了(修士)。 2001年慶應義塾大学大学院図書館・情報学専攻博士課程単位取得退学。2001年国立情報学研究所情報学資源研究センターCOE研究員、2003年駿河台大学文化情報学部講師、2007年同准教授を経て、2011年より九州大学附属図書館研究開発室准教授。同年より九州大学大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻専任教員。日本図書館情報学会常任理事。図書館情報学の立場から、テキストの自動分類・検索に関する研究に携わる。
石田栄美